WAVESはもう古いだとかよく聞く話ではありますが、僕は今でもよく使うプラグインもまだまだあります。
そのうちの1つが今回紹介するWAVES OneKnob Seriesです。
OneKnob Seriesは、ノブが一つあるだけのシンプルなインターフェイスで、的確な効果をもたらすプラグイン全8種がバンドルされています。
全種類のレビューとともに、実際にどのような効果があるのか試聴サンプルも用意して見ていきたいと思います。
それでは、始めましょう。
WAVES OneKnob Series全種類をレビュー
OneKnob Brighter
回すだけでどんどん高音域が強調されて、音抜けが良くなるプラグインです。
↓ピアノのサンプルで2小節ごとに値を0-2-5-8-10と動かしてみました↓
さすがに8くらいからは耳に刺さる感じがありますね。
↓同じ設定でドラム全体にもかけてみました↓
スネアあたりがどんどん強調されていきます。
ローカットや細かい調整をするには、のちのちEQを出してくるほかないですが、
アレンジの構想段階なんかで「だいたいこんな感じの存在感で」というような、ラフな調整をするには便利なプラグインです。
OneKnob Driver
その名のとおり、回すほどに歪んでいきます。
歪ませるだけのプラグインは、同じような簡単操作のものが他社からも出てたりしますね。
僕の使い方としては、ベースに少し歪みがほしいときなんかにとりあえずこれを使ってみることが多いです。
↓試してみました↓
これも8あたりからかなり強くかかりますね。
ファズをかけたように潰れてしまっています。
次は同じベースですが、少しルーティングを変えてみます。
MODO BASS→Oneknob driver→Amplitubeとしてみます。
個人的にはこっちのほうが断然好みな音です。普段使うときはこっちの使い方です。
…なんか、最後ちょっとMUSEっぽい音してませんか?
簡単にディストーションの掛かったベースを作ることができました。
OneKnob Filter
シンセサイザーの定番パラメータ。ローパスフィルターです。
ノブ以外にもレゾナンスをnone、moderale、high、extremeとクリックで切り替えることができます。
シンセサイザーにはそもそもフィルターがついてるので、それ以外のアナログな楽器やステムに掛ける使い方がメインになると思います。
ここではドラムで試してみましょう。
パラメータ0だと、フィルターが閉じきってほぼ音がしないので、ここでは2から始めます。
レゾナンスがnoneだとこんな感じです。
ごくごく普通なフィルターですね。
次に、一番レゾナンスのきついextremeを試してみましょう。
かなり癖のある感じになりました。
一般的なフィルター同様に、細かくノブにオートメーションを書くことでいろいろなサウンドメイクが可能です。
↓ピアノにかけて適当にいじってみました↓
複雑なパラメータは存在しないので、フィルター効果を簡単に使いたい時におすすめなプラグインです。
OneKnob Louder
音がでっかくなるプラグインです。
むしろ最近は音が大きすぎる音源のほうが多数だと感じるので、正直これはあまり使用頻度は高くないですね。
音の小さいトラックの音量を持ち上げるのがメインの使い方ですが、他の選択肢としてL1やL2をインサートしたほうが音量管理はしやすいです。
有効的な出番を1つあげるとすれば、トラックのフェーダーにはオートメーションを書きたくない場合です。
ミックス時のボリューム管理が複雑になるのでフェーダー自体にオートメーションを書くのが嫌だという時は、
インサートしておいたOneknob Louderにオートメーションを書くことで、その後もトラック自体のフェーダは自由に動かせます。
ただ、その場合はノブを0にしておくとマイナス方向への調整が効かなくなるので、少し回したところから調整することになりますね。
↓ピアノで0から10まで回したサンプルを貼りますが、音量注意です↓
OneKnob Phatter
回すほど低域を補強してくれます。
Oneknob Brighterの低音版といったところです。
同じWAVESのRenaissance Bassと比べると、10まで回してもこちらのほうがおとなしいですね。
使い方としては線が細いと感じた音源の補強に使ったり、ベースやキックのローを分厚くする使い方になると思います。
↓ピアノです↓
低域が補強されて回すほどに分厚くなりました。
ただ、歌ものとかだと逆にピアノやギターのローは切ってしまうことも多いので、この使い方はあまりしないかなと思います。
やはり使うなら低音楽器の強化が良いと思います。
↓ベースに使います↓
ベースが太くなりました。
Brigherのときと同じく、とりあえずのざっくりとした音の方向性を決めたい時の時短ツールとして、なかなか使いやすいプラグインだと思います。
OneKnob Pressure
極めてシンプルな操作性のコンプレッサーです。
アナログミキサーなんかに同じような1ノブのコンプがついてたりしますね。
動作モードがunity、boost、padと3つあるのですが、padモードが一番穏やかです。
Unityとboostは少し回すだけでかなり分かりやすく掛かるので、そういう音作りも含めたコンプレッサーだと割り切って使うしか無いですね。
↓ドラムで3つのモードを比べてみます↓
padモード。穏やかとは言いましたが、これも結構かかります。
unityモード。少し動かすだけではっきり音が変わります。
boostモード。めちゃくちゃ潰れてます。
もっとナチュラルなコンプならより使いやすいのですが、結構Oneknob Pressureの色が出てしまいますね。
同じWAVESだと、少し操作は増えますがR-Compのような簡単なコンプが他にもありますので、僕の環境ではあまりこのプラグインは出番がないです。
OneKnob Pumper
トリガー無しでダッキングさせるエフェクトです。
Oneknob Seriesの中で、一番便利なプラグインはこれかもしれません。
回すほど強くダッキングするようになります。
Rateタブから1/1から1/32までダッキングの周期を切り替えられるほか、右下のOffsetの項目ではダッキングするタイミングを変えることができます。
普通は4つ打ちに合わせて、4部音符の頭で音が小さくなりますが、裏拍で小さくなるようになど任意に調節ができます。
↓シンセベースに試してみました↓
サイドチェインでコンプを掛けることを、1ノブで済ませる時短的な使い方はもちろんですが、
トリガーとなる信号が止まっているときでも、ダッキングさせることができるのがコンプとは違う特徴です。
例えばキックの信号でPadをダッキングさせていたとして、キックの鳴らない展開ではダッキングも止まってしまいます。
そんな時に「別のトラックにダッキングさせるコンプに送る信号用に鳴らないトラックを作って…」なんて作業はいりません。
このプラグイン一発でキックが止まっていてもダッキングさせ続けることが可能です。
↓パッドにかけました↓
このような効果を、簡単に使いこなすことが可能です。
難点はアタックとリリースがいじれないので細かな効きの調整ができないことです。
あくまで一瞬で及第点を出す時短ツールと割り切って、時間をかけておこなう細かな調整は他でやると割り切って使うのが良いでしょう。
OneKnob Wetter
これが最後の1つです。リバーブです。
作曲のスケッチをピアノなんかでおこなう時、音がドライすぎて気分が乗らないときとかに薄く掛けるような使い方が良いと思います。
あとはパラアウトしたドラムに対して「最終的には違うリバーブでしっかり時間かけて調整するんだけど、アレンジ段階でサッとリバーブ感足しときたい」なんて時にも有効ですね。
センド・リターンで複数のトラックに掛けるような使い方は想定されていないと思います。
試しにピアノとドラムにかけてみます。
ピアノです。最後らへんはやりすぎですね。
ドラムです。少しかけた状態だとアンビエンス感が増していい感じです。
それぞれ、簡単にリバーブを加えることができました。
どうしても深く掛けるとお風呂場感が出ちゃうので、ほどほどが良いと思います。
今回のまとめ
全8種、少し長くなりましたがここまでお読みいただき、ありがとうございました。
それぞれ機能的には足りないところもあるのですが、それを理解した上で時短ツールとして使いこなせばまだまだ出番のあるプラグインたちです。
最近はセール時にすごく安くなることがあるので、今回興味を持たれた方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
それでは。