先日、長年の愛機であるテレキャスターのピックアップを、テキサススペシャルに交換しました。
その時はさくさくと作業を終えたのですが、作業中に「昔、初めて自分で交換した時はすごく苦労したなぁ」と懐かしい思いが蘇ってきました。
そこで今回は、これから初めて自分でピックアップを交換するなら、ここは注意しておいたほうが良いなと思う点を取り上げていきたいと思います。
失敗する確率をなるべく下げて、ギターいじりをがんがん楽しみましょう。
ピックアップ交換時の注意点
回路図を確認する
まず完成形の回路図を用意し、確認しながら進めましょう。
ギターの回路はシリーズにパラレルにコイルタップなど色々なつなぎ方があるので、まずは自分がやりたいセッティングの回路図をしっかり確認することが大事です。
ありがたいことにSeymour Duncanの公式サイトにて、多種多様な回路図を確認することができます。
英語が苦手でも、図を見るだけで何となく理解できると思います。
逆位相に気をつける
ピックアップからはホットとコールドと呼ばれる極性の線が出ています。
ホットをセレクターにつなぎ、コールドはポットの裏につないでアースを落とすのが一般的な配線ですが、
これを間違えて逆につないでも普通に音は出ます。
問題は2つのピックアップの位相が揃っていない場合に、それぞれの音が混ざるミックスポジションで起こります。
ひどく音痩せのしたような、明らかに単体のピックアップより音量の小さいしょぼい音になってしまいます。
これはいわゆる「フェイズアウト」と呼ばれるサウンドで、2つのピックアップの音が打ち消し合うことで起こる現象です。
ムスタングのように狙ってフェイズアウトサウンドが使えるギターもあるように、この音が欲しくて逆位相に配線する分には全く問題ありません。
ただそうでない場合は、あとからはんだ付けをやり直すのも面倒なので、取り付け前に確認を済ませておきましょう。
ピックアップの断線に注意する
ピックアップはボビンの周りにとても細いエナメル線がぐるぐると巻かれています。
その細さゆえに、とても断線しやすい繊細なものです。
もしも断線させてしまうと、交換のためにせっかく用意したピックアップが無駄になってしまいます。
作業中にドライバーやはんだごてを引っ掛けて切ってしまうことのないように、ピックアップの近くでの作業は注意をはらいましょう。
ネックポケットに負荷をかけない
ツバ出し指板の場合、ネックを取り外さないとスムーズにピックアップ交換へ進めない場合があります。
ピックガードが引っかかって、上手く外せないんですよね。
この項目は、ピックアップ交換時というよりもネック取り外し時の注意点なのですが、ネックポケットに余計な負荷をかけないことを意識しましょう。
それがなぜかという理由は、次の画像をご覧ください。
赤丸部分にクラックが入っています。(これはギターでなくベースですが。)
フェンダー系の弱点として、ストラトでもジャズベースでもここにクラックが入りやすいです。
ネックの取り外しに関わらず、経年劣化で割れてくることもあるようです。
塗装が割れただけの薄いクラックならまだ良いのですが、木材ごと割れちゃうと強度の不安が出てきてしまいます。
ピックアップの交換を考えるほどこれからも使っていきたい楽器に対して、ダメージを与えてしまうのは悲しすぎます。
ネックを外す必要性が出てきた時は、変な方向に負荷のかからないように注意をしましょう。
ポットに熱を与えすぎない
ボリュームポットやトーンポットは実は熱に弱いです。
端子部へのはんだ付けはまだ容易なのでいいですが、問題はポット裏へのはんだ付け。
上手くはんだがくっつかなくて時間がかかってしまうことがあります。
長時間ポットを熱にさらして壊してしまわないように、作業は短時間で素早く終えましょう。
はんだのりを良くする工夫として、ポット裏をあらかじめやすりで軽く傷をつけておく方法があります。
つけた傷にはんだが食らいついて、新品のポットでもくっつきやすくなります。
オクターブ調整が必要な場合も
テレキャスのブリッジピックアップの場合、ブリッジごと一度外さないと交換ができません。
その場合、サドルが邪魔でネジが回せないので、サドルも一度外す必要があります。
サドルを外すということは、のちにオクターブ調整が必要になります。
大事なのは、外す前にしっかりともとのサドルの位置をメモしておきましょう。
何もない状態からオクターブ調整をおこなうのに比べ、かなりの時短となります。
位置を測るのには、物差しよりもノギスを使うのが便利です。
工業品の検査ほどの精度は必要ないので、安いアナログノギスで十分です。
予算のある方はデジタルのほうが見やすく作業しやすいですが、たまにしか使わない場合は電池切れで使えないことも多々あるのでご注意を。
後戻りできない改造はできるだけ避ける
例としてストラトにハムバッカーを積みたい場合、ボディの木材を削る必要があります。
交換品を用意すればいいピックガードとは違って、ボディは削るともとには戻りません。
「なんかイメージと違ったから戻そうかなぁ」となった時、元の音に戻らない可能性があります。
よほどこの選択は間違っていないと強く思える時以外は、ギター本体に大きく手を加える改造はやめておくのが無難かなぁと個人的には思います。
さまざまな改造の実験台としてのギターならありだとも思いますが、お気に入りの一本ならば少し考えてみましょう。
今回のまとめ
「初めてピックアップを交換するときは、ここには気をつけたほうが良いよ。」という点を述べさせていただきました。
愛着があるからこそ色々といじりたくなるのですが、初めてのチャレンジは何事も不安なもの。
ただしっかりと準備をすれば、そう失敗はしないものです。
挑戦される際には、今回の記事に書いたことを頭の片隅に置いておいて頑張ってみてください。
それでは。