歪んだエレキギターをDAWで録音してみて気づく人も多いかと思うのですが、ブリッジミュートして刻むと非ミュート時より低音がふくらみ音量が上がりますよね。
この現象に関しては「ギターはそういうもんだぞ。」と言われてしまえばそれまでなのですが、曲として仕上げるうえで音量バランスを取るために対応しなくてはならないのは間違いありません。
奏法ごとにトラックを分けたり様々なプラグインで対応したりと対応策は色々と考えられると思いますが、今回この記事では僕が考える一番簡単でデメリットの少ない方法について紹介したいと思います。
ブリッジミュート時にモコモコと低音がふくらむ問題の対策案
結論:ダイナミックEQがベスト
結論から言いますと、ダイナミックEQを使う方法が一番いいのではと考えています。
普通のEQでは非ブリッジミュート時にも音に影響しますし、コンプレッサーでは低音以外もまとめて音量が下がってしまいます。
ダイナミックEQと同じようなことが出来るマルチバンドコンプレッサーでも良いのですが、突出するポイントが複数ある場合ダイナミックEQのほうが対応しやすいと思います。
という訳で、ここから先はダイナミックEQを使ってモコモコを抑える方法について触れていきます。
1.ふくらんでいる帯域を把握する
肌感覚で「低音がモコモコするなぁ」と思っていても、実際にそれが数値でいうとどのあたりの帯域なのかを把握する必要があります。
ここで簡単にパワーコードのギターを録ったサンプルを作ってみました。
前半はミュートせず演奏し、後半はブリッジミュートしたギタートラックに打ち込みのドラムとベースを重ねました。
このトラックの前半と後半をそれぞれアナライザーで表示したものがこちらです。
200Hz手前あたりがぐっとふくらんでいます。
画像が分かれていると分かりにくいかもしれませんので2枚の画像を重ねたものがこちらです。
色の薄いほうがミュートしていないものです。
低音以外にも少々の変化はありますが、やはり200Hz辺りより下が特に大きくふくらんでいるのが見て取れれます。
今回紹介したいのは、この極端にふくらんでいる部分をダイナミックEQで抑えにかかろうという方法です。
2.ダイナミックEQを使用する
ダイナミックEQも様々なものがリリースされていますが、今回は画面が見やすいという理由でNewtronのEQを採用します。
ダイナミックEQを設定した画面がこちら。
200Hz辺りにベル、100Hz辺りからローシェルフで設定しています。
ものすごく削っているように見えますが、ダイナミックEQなので普通のEQほど激しくカットはされていません。
ポイントはミュートしていない演奏時には一切リダクションされないように設定することです。
普段はカットされず、ふくらんだときだけ削る。こう設定することによってブリッジミュートしていないときの音の変化を防げます。
結果がこちらです。
先程のものよりもかなりスッキリしたと思います。
たった2つのカットを入れただけで大体解決する。これが僕がブリッジミュートの処理にダイナミックEQをおすすめする理由です。
今回のまとめ
今回はブリッジミュート時の低音の処理にはダイナミックEQが簡単だという話をしました。
あまりダイナミックEQは馴染みないジャンルのプラグインかもしれませんが、こういった使い方をするにはとても便利なツールです。
最近はDAW付属のEQにもダイナミックEQの機能がついているものもあるので、これを気にぜひ使ってみてはいかがでしょうか。
それでは。