DTMを始めるにあたって、ほぼ必須級の機材であるMIDIキーボード。
鍵盤数は少ないもので25鍵あたりから多くてピアノと同じ88鍵まで。
色んなノブやフェーダーが付いているものもあれば、逆にシンプルなものもあります。
「好きなものを使えばいいよ」と言われるとそれはその通りなのですが、最初は何を基準に選んでいけば良いのかもさっぱりわかりません。
そこで、この記事では初めてのキーボードを選んでいる方や、1つ買ったは良いけどしっくり来てなくて買い替えを考えている方に向けて、僕から「こういう基準で選んだらどうだろうか」という提案をしたいとおもぃます。
あくまで一個人の意見にしか過ぎませんが、僕の考える結論は次のとおりです。
- 机に置けるサイズの中で一番鍵盤数の多いモデル。
- パッドやフェーダーのような多機能は不要。
- ミニ鍵盤はやめといたほうが無難。
- ピアニスト以外はピアノタッチの鍵盤は避けたほうが良し。
- バンドルソフトにも目を通す。
それでは、それぞれを掘り下げていきましょう
MIDIキーボードを選ぶ基準
置ける範囲で一番鍵盤数の多いモデルを選ぶ
スペース的に置けるなら88鍵を使うのが理想です。
それが無理な場合、製品のサイズと自分の机のサイズを吟味して、置ける範囲で鍵盤数の多いモデルがオススメです。
実際、僕も今使っているのは49鍵のものです。
多い鍵盤数が良い理由は、単純にオクターブの切り替えを行わずに演奏できる音が多いからです。
あまり鍵盤数の少ないモデルだと、ピアノの演奏時に左手と右手を同時に演奏できないことになります。
ドラム音源を演奏するときにも、シンバルが離れた位置にあって少ない鍵盤数では鳴らせないようなことも起こります。
そういった理由から、最低47鍵、出来れば61鍵以上あると演奏性が良いと思います。
一番低い音域にキースイッチが並んでいて、色んな奏法を切り替えるような音源もあるので、やはり理想は全音域が並んでいる88鍵ですが、置ける範囲で多い鍵盤数のモデルを選ぶこと、それがMIDIキーボードを選ぶ最初の基準です。
パッドやフェーダーは不要
いろんな機能がついてるものに惹かれる気持ちや、お得感があることはわかります。
しかし実際の所、それらの機能はあんまり使わない人が多いんじゃないかと思います。
そういった人にとっては、結果的に無駄に場所を取るキーボードになってしまいます。
中には「いやいや、俺はめっちゃ使うよ」という方もいるかと思います。
ただ、そういう方にとってはキーボードに搭載されている機能では、中途半端なクオリティであることが多いように感じます。
例えばパッドでドラムを打つ場合、ベロシティ感度が良いパッドでないと、音の強弱が表現しにくいです。
そのために売られている専用の機材であっても、やはり安物は感度が良くないことが多く、Native InstrumentsのMaschineのようなある程度の値段のものでないと使用感に満足できないと思います。
フェーダーにしてもストロークの短いものが多く、PresonusのFaderPortのような長いフェーダかつモーターフェーダーの使用感には及びません。
なので結論は、あまり使わない人が多い上に、よく使う人にとっては物足りない性能であることが多いため、パッドやフェーダーはMIDIキーボードには不要であると考えます。
小さなノブが数個付いているようなものは、あまりスペースを取るパーツでもないので、使用頻度に関わらずその位は付いているものでも良いと思います。
ミニ鍵盤はやめておいたほうが無難
省スペースで、鍵盤数の多いキーボードを置ける手段の一つであるミニ鍵盤。
KORGのmicroKeyなんかが有名なモデルですね。
ただ残念ながらあまりおすすめはしません。
理由としてはまず単純に演奏がしづらいこと。
まず、鍵盤の縦の長さが短いので、手首をぐっと立てたようなフォームでないと、黒鍵混じりのコードは押さえにくかったりします。
そして横幅も狭いため、黒鍵に挟まれた白鍵部分は、黒鍵を鳴らさずに押さえるのが難しいほどの幅です。
25鍵くらいのモデルでメロディを確認するだけ、という使い方なら場所も取らないので良いのかもしれませんが、それではメインのキーボードにはなりえないと思います。
補助的な使い方としてはいい部分もあるが、メインで使う一台には難しい。僕はそう感じます。
ピアニスト以外はピアノタッチ鍵盤は避けるのが無難
ほぼ88鍵のモデルにしか搭載されていない思いますが、鍵盤の弾き心地がピアノに近い、ピアノタッチと呼ばれる鍵盤があります。
比較的値段の張るモデルが多く、「ふにゃふにゃのシンセ鍵盤より良いものなのでは」と考える方もいるかも知れません。
たしかにそのとおりで、しっかりした作りのものが多いように感じます。
ただ僕は、実際のピアノを経験してきて、MIDIキーボードにも同じタッチを求める人以外にはおすすめはしません。
理由としては、まずピアノが得意でない人には同音連打がしにくいことです。
ピアノストが演奏する場合は、数本の指を入れ替え見事に高速で同音連打をおこないます。
ただ、貧乏ゆすりスタイルで同じ指での連打で打ち込む人にとっては重い鍵盤は負担にしかなりません。
次に、意外と盲点となる鍵盤自体の騒音についてです。
演奏している時、ピアノタッチのキーボードにはガコガコうるさいものが多く感じます。
意外と隣の部屋なんかまで響いていたりするので、あまり大きな音を立てたくない住環境の方や深夜の作業が多い方にもおすすめできません。
せっかく周りに気を使ってヘッドホンで制作しているのに、鍵盤自体がうるさいから苦情を言われたなんてことになれば悲しすぎます。
そういった事情から、繊細なタッチが表現しやすかったりと良いことも多いのですが、ピアノが弾けない人にはデメリットのほうが勝るのではないかと思います。
バンドルソフトにも目を通す
まず、ここまでのポイントをおさらいします。
できれば47鍵以上で、シンプルなモデルで、普通サイズのシンセ鍵盤のものです。
この条件で当てはまるモデルというのは、比較的安価なモデルが多いです。
そして、シンプル故に製品ごとの差別化も難しいです。(レビュー等であまりに評判が悪いモデルは避けましょう)
そこで、各製品ごとに大きな違いとなり得るのが、バンドルソフトの違いです。
例として、M-AUDIOのKeystation49 mk3とNEKTARのSE49はどちらも実売価格で1万円を切る似た価格帯の製品です。
しかし付属するソフトは全く異なり、KeystationにはAirのピアノ、エレピ、Xpand!2の3つの音源が付属するのに対し、
SE49にはUVIのDigital Synsationという90年代のデジタルシンセから音色を抜粋した音源が付属します。
このように、製品自体は似通っていても付属するものは全く違っていたりします。
ですので、似た製品で迷った場合は、付属するソフトウェアにまで目を通して検討してみるのも良いと思います。
今回のまとめ
今回は、多種多様なMIDIキーボードの中から、できるだけハズレを引かないように選ぶポイントを取り上げました。
今回の内容は、あくまで無難に選び抜く際のポイントなので、実際のところは「すげーかっこいいの見つけたから買っちゃった」でも全然構いません。
演奏性、見た目、ブランド名など、個人の制作モチベーションが高まるポイントはそれぞれ違って当然なので、あくまで僕の思う一つの意見として聞いていただければなと思います。
それでは。良い選択を。