アコギの出番が来たとき、どうしてますか?
打ち込んでもなかなかしっくりとこなかったり、いっそ弾いてしまうにも近隣からの苦情が怖かったり、と曲中にアコギを導入するのに苦悩されている方も多いかと思います。
そこで、今回この記事では「打ち込みで、できるだけそれっぽく聴かせたい」をテーマにいくつかの打ち込むコツを紹介していこうと思います。
アコギをいい感じに打ち込むコツ
ギターのボイシングで鳴らす[CAGEDシステム]
鍵盤には鍵盤の、ギターにはギターの定番のコードフォームがあります。
そこで登場するのが「CAGEDシステム」と呼ばれるギターのコードとスケールを理解する定番の方法です。
簡単にまとめると、ギターのコードフォームにはC,A,G,E,Dコードを押さえるときに登場する5つのボイシングがあるという話です。
この5つのボイシングを取り入れるだけでも、ぐんとギター感が出てくると思います。
5つの音の並びは次のとおりです。(左側が低音側です。)
- 「C」 C-E-G-C-E
- 「A」 A-E-A-C#-E
- 「G」 G-B-A-G-B-G
- 「E」 E-B-E-G#-B-E
- 「D」 D-A-D-F#
特に重要なのは「A」と「E」の形です。
この二種類は運指的にマイナーコードも押さえやすいですし、なによりBコードやFコードを鳴らすときのように、この形のまま移調して別のコードとして使用することの多い形だからです。
反対に「C」や「G」の形ではマイナーコードは押さえにくいですし、このボイシングのまま移調してコードを鳴らすのはあまり出番の多い形ではありません。
「C#」や「G#」が頻出する曲で、それらを「C」や「G」のフォルムのボイシングで鳴らしたい場合は、カポタストを使用しアコギそのものを移調するイメージで打ち込むほうがアコギらしく聴こえると思います。
次のサンプルは2種類のボイシングの比較です。
コード進行はシンプルにA-D-E-Aとなっています。
まずは鍵盤的なボイシング。
次にギター的なボイシング。
少しギターっぽく聴こえるのではないでしょうか。
ギターっぽいタイミングで鳴らす
ギターでコードを鳴らすときは楽器の仕様上、ダウンストロークの場合は低音側から高音側へ、アップストロークの場合は高音側から低音側へとピッキングします。
このときに生じる微妙なタイミングのズレを表現してやることで、よりギターらしさが増してきます。
次のサンプルは、先程のものと発声タイミングをずらしたものとの比較です。
よりそれっぽくなったかと思います。
この際のコツとしては、テンポの落ち着いた曲ではタイミングを大きめにずらし、速い曲ではズレを小さめにしたほうがより良いと思います。
ゆっくり撫でるように弾くのか、右手を素早く振り抜くのかというイメージです。
押さえた音を全部鳴らさなくていい
ギターには6本の弦がありますが、意外に全部鳴らしていなかったりします。
特に16分の速いストロークやアップストロークの部分では、高音側の3~4本だけのほうがそれっぽい感じになります。
次のサンプルは速いストロークで全部の音を鳴らした場合です。
ダメというわけではないですが、少々暑苦しい感じがしてしまいます。
次に音数を減らしてみた場合です。
軽やかな感じが出て、よりアコギのバッキングらしくなりました。
コードチェンジ前にブラッシングを入れる
ゆっくりとした曲の場合はあまり問題ありませんが、速いバッキングをしている場合にコードが切り替わる直前の音をブラッシングにすることがあります。
相当上手なギタリストなら大丈夫なのでしょうが、コードチェンジを行う速さにも限界があるので最後の音を鳴らさずにごまかしている感じです。
フレーズとしてはさっきまでの方がきれいなのですが、人っぽさを演出しようとするならこういった細かいこともやったほうが、より良い結果になると思います。
今回のまとめ
今回はアコギをそれっぽく打ち込むコツについて取り上げていきました。
細かいベロシティは一切弄らずにベタ打ちでやりましたが、上記の内容だけでも結構アコギっぽい感じが出るのではないでしょうか。
もちろん、もっと細かく作り込みたい方はダウンアップの強弱や、曲のアクセントに合わせて強く鳴らすなど、ベロシティを作り込んでもっと良くしていくのもいい方法だと思います。
これを機会に、ぜひぜひアコギの打ち込みにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
それでは。